長男が通った幼稚園は、3年間ずっと笑顔があふれる、とてもあたたかい場所でした。
裸足保育を大切にしていて、園庭では子どもたちが泥だらけになりながら走り回り、砂場や水遊びを全身で楽しんでいました。足の裏で土の感触を味わえる環境は、今思うととても贅沢だったなと感じます。
そんな中でも、長男は少し内気なタイプ。
入園したばかりの年少の頃は、朝になると門の前で「行きたくない!」と泣き叫び、先生に抱きかかえられながら教室へ向かう日が続きました。
「本当にこの幼稚園に慣れてくれるのかな」と、不安になったことはありませんか。私も同じ気持ちでした。
それでも、毎日少しずつ先生が寄り添ってくれたおかげで、変化が見え始めます。
家に帰ってくると、「今日は〇〇くんと遊んだよ」「すべり台がいちばん好き!」と、自分から幼稚園の話を弾む声でしてくれるようになりました。
好きな遊具や、お気に入りの先生の話を聞いていると、「この場所が長男の安心できる世界になりつつあるんだな」と思えて、ほっとしたのを覚えています。
年中の頃には、少し情緒が不安定な時期もありました。
朝になると表情が曇り、「なんとなく行きたくない…」という雰囲気の日もあったようです。そんな時期、あなたのお子さんにもありませんか。
それでも長男は、自分なりに気持ちと折り合いをつけながら、休まず幼稚園へ足を運び続けました。
年長になると、その不安定さも落ち着き、仲の良い友達が一気に増えました。
「明日は〇〇くんと××して遊ぶんだ」と、翌日の予定を楽しそうに話す姿は、年少のころの涙が嘘のようでした。
さらに、「年長さんはいちばんお兄さんのクラス」という自覚も芽生えます。
朝、門のところで泣いている年少さんにそっと近づき、「一緒に遊ぼう?」と声をかけている長男の姿を見たとき、「あの泣き虫が、今度は誰かを支える側になったんだ」と胸がじんとしました。
卒園を控えたある日、「どんな気持ち?」と長男に聞いてみたことがあります。
すると、「ちょっとさびしいけど、またみんなに会えるし、小学生になるのが楽しみ!」と、はっきり答えてくれました。
3年間の裸足保育や友達との関わり、先生たちの支えの積み重ねが、ここまで頼もしい表情をつくってくれたのだと思うと、感謝の気持ちでいっぱいになります。
幼稚園の門で泣いていたあの日から、「小学校が楽しみ」と笑える子どもに育つまでの時間は、長いようであっという間です。
今、お子さんは幼稚園についてどんな表情で語っているでしょうか。